白雪姫に極甘な毒リンゴを
「私が小学1年せいの時だった。
お母さんね、
寝る前にいつも、絵本を読んでくれていたの。
一緒の掛布団にくるまって、
お母さんの隣にぴったりくっついて
絵本を聞くのが大好きだったんだ。
数日前から頭が痛いって
辛そうにしていたのに、
私、わがまま言っちゃったの。
『今日も絵本読んで』って。
絵本を聞きながら、私、寝っちゃったんだ。
サッカーから帰ってきたお兄ちゃんの叫び声で
目が覚めた時には、
隣で寝ていたお母さんの意識がなかったの。
救急車で運ばれたけど、
そのまま家には帰ってこなかった」
「六花が悪いところなんて、
一つもないじゃん」
「私のせいだよ。
なんであの時、
無理やり絵本を読んでなんて
お願いしちゃったんだろう。
それにね、
『病院に行きたいから、今日は学校が
終わってから友達と遊ばないで』って
お願いされたのに、私、怒っちゃったの。
『もう、お友達と遊ぶ約束を
しちゃったんだからね』って。
お母さんが頭が痛くて、
辛そうなところを見ていたのに、
病院にさえ行かせてあげなかったんだ。
そりゃ、お兄ちゃんに言われて当然だよね。
お母さんが死んだのが、私のせいだって」
「六花……」
「ね、お兄ちゃんが私を
大嫌いな理由がわかったでしょ?」
桃ちゃんは、
私の告白を聞いて、顔を歪めた。
そしてしばらく無言が続き、
桃ちゃんが口を開いた。