白雪姫に極甘な毒リンゴを


 私がモヤモヤしたものを
 思い出そうとしているとき、
 桃ちゃんが微笑みながら言った。


「私、もう帰るね。

 六花も、こいつらみたいな柄悪い奴らに、
 気を付けて帰るんだよ。」


「え……うん」


 『六花さんには、
 女神さまみたいな笑顔を向けるんですね』

 『俺たちを六花さんだと思って、
 今の笑顔をしてください』

 お仲間さんたちのルンルン声を聞いて、
 ギロっとにらみを効かせた桃ちゃん。


「私の友達の名前、気安く呼ぶんじゃねえよ。

 早く帰る支度をしないと、
 一緒に帰ってやんないからな」


「え? 一緒に帰ってくれるんすか?

 速攻で着替えてくるんで、
 絶対に帰らないでくださいね」


「期待させといて、
 もう帰っちゃったはなしですからね」


 そういうと、黒ユニフォーム集団は
 血相を変えて階段を駆け下りていった。 


 そして桃ちゃんも、
 『月曜日に学校でね』って言葉を残して、
 階段を下りて行った。

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