白雪姫に極甘な毒リンゴを


「俺さ、
 六花が好きってアピールしてたよね?」


「それは、
 お兄ちゃんに近づきたいからかなって」


「七星の誕生日プレゼントを
 買いに言った時も、
 六花が七星にフラれたって、
 体育館で泣いていた時も、
 俺、抱きしめてやったじゃん」


「それは……
 誰にでも優しいのかなって……」


「俺さ、
 好きでもない女の子を抱きしめるとか、
 絶対にしないから」


 紫音くんの瞳が、
 私の瞳の奥の奥まで突き刺さるくらい、
 まっすぐ私を捉えている。


 どうしよう……

 私……なんて返事をしたらいいんだろう……


 今まで紫音くんのことを、
 恋愛的な目で見たことなんてなかった。


 紫音くんが優しくしてくれるのだって、
 大好きなお兄ちゃんに近づきたいから。


 それと、お姉ちゃんの愚痴を聞いてくれる、
 唯一の存在だからだと思っていた。


 私、わからないよ。


 今自分が、誰を好きなのか。

 
 七星くんのことも、本当にふっきれたのか。

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