白雪姫に極甘な毒リンゴを

 3分くらいして、
 廊下からバタバタと足音が聞こえてきた。

 
 教室に戻ってくるなり、
 教室のドア枠に手をついて
 息をは~は~と切らしている。


 そんな必死に走って、
 何をしていたんだろう。


 七星くんはゆっくりと深呼吸をして
 息を整えると、
 私の方に近づいてきた。


「これ、赤城さんにあげる」


 え? 

 これって……

 私がさっきあげたものと同じ、
 パックのイチゴミルク?


 なんで? 

 同じものをくれるの? 

 しかも4個も。


「でも七星くんから……
 もらう理由……ないし……」


「理由ならあるから」


「え?」


「パックの底……見て……」


 七星くんの弱弱しい声にうながされ、
 パックの底に目をやると、
 文字が書いてあることに気が付いた。


「す?」


「全部の底……見て……」


 1個ずつ、確認した。


 え?


 嘘……だよね……


 それぞれの底に書いてある文字をつなげると


 『す』『き』『で』『す』
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