白雪姫に極甘な毒リンゴを

 そしてもう一つ、
 青い箱の中に入っている小箱に手をかけた。


 中には何が入っているんだろう。


 そっと蓋を開けた瞬間、
 見覚えのあるものが目に映った。


 ……お守りだ……


 箱の中には、
 ミルクキャラメルの箱くらいの
 大きさのお守りが、
 何個か入っていた。


 それは明らかに手作り。


 小さな花柄の生地や、白地に黒のドット柄、
 真っ青なストライプ柄など、
 いろんな布で作られている。


 縫い目がガタガタの物から、
 ミシンで縫った?って思ってしまうほどの、
 ほとんど等間隔で縫われたものまで、
 9個ほど。


 待って!

 待って!


 この中のお守りの一つ。

 そう、この縫い目がガタガタのお守り。


 生地が同じ……


 お母さんが亡くなった後に、
 教室で七星くんからもらったお守りと……


 どういうこと?


 私は急いで自分の部屋に駆け込むと、
 少1の時に七星くんからもらったお守りを、
 机の引き出しから取り出した。


 そしてまた、
 お兄ちゃんの部屋に戻ってきた。


 やっぱり一緒だ!


 それにこのお守りの生地、
 さっきどこかで見たような。


 必死に記憶のスクリーンを
 隅から隅まで確認。


 すると、
 私の隣で微笑んでいるお母さんの顔が
 思い浮かんだ。


 もう一度、赤い箱をあけ、
 お兄ちゃんがチョコパイを頬張っている
 写真を見た。


 やっぱりそうだ!


 このお守りの生地、
 お母さんが着ていた洋服と同じだ!


 でも、それっておかしくない?


 だって小1からずっと
 心の支えになってくれていたこのお守りは、
 七星くんがくれたものだよ。


 お母さんが亡くなった時に、
 『また、りっちゃんの笑顔、見たいな』って
 微笑みながら、
 七星くんが手渡してくれたものだよ。


 それなのに……


 なんで、
 お兄ちゃんの部屋にある手縫いのお守りと、
 同じ柄のお守りなの?

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