白雪姫に極甘な毒リンゴを

 「お兄ちゃんなんて大嫌い」って、
 口をプクって膨らます六花。


 いつの間にか、
 背後霊のように俺の後ろに
 ピタッとくっついていた六花。

 「はい、お弁当」って、
 俺のために作った弁当を
 手渡してくれた六花。


 俺に怒ったり、笑ったり、甘えたり。


 数えきれないくらいの六花の表情が、
 まるでスライドショーのように、
 脳内に勝手に映し出されるんだよ。


 俺はどうしたらいい……


 でも、どう考えても、
 六花を幸せにできるのは、
 俺なんかじゃなくて、紫音や七星なんだ。


 俺と一緒になれば、
 間違いなく六花は不幸になる。


 俺の束縛と、ワガママに縛られて、
 どんどん俺のことが嫌いになると思う。


 そうなったら、俺たちはもう戻れないんだ。


 今みたいな、兄と妹の関係には。


 俺が一言も話さないからか、
 十環が重い口を開いた。

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