白雪姫に極甘な毒リンゴを


 全身がブルブル震える体をさすりながら、
 私は倉庫から脚立を取り出し、
 リビングの吐き出し窓の前に置いた。


 そして、
 自分の身長よりも高い脚立に上った。


 って、今から窓掃除をしようとしているのに、
 私、手に何も持っていないよ。


 濡らした新聞紙で窓を拭いてから、
 からぶきをしようと思っていたのに。


 脚立に乗ったまま、
 要領の悪い自分に落ち込む。


 新聞紙たちを取りに行かなきゃなと思って、
 脚立から降りようとしたとき、

「六花……」

 背後からの声にドキリとして、
 足を踏み外した。


 キャ~!!


 背中から落ちる!!


 そう思って目をギュッと閉じたのに、
 ゆっくり目を開けた時には、
 大好きな顔が目の前に。



「お……お……お兄ちゃん!!!」


< 249 / 281 >

この作品をシェア

pagetop