白雪姫に極甘な毒リンゴを

 私が暗い顔でうつむいていると、
 お兄ちゃんは低い声で言った。


「俺さ、
 七星みたいに六花に優しく微笑んだり
 できねえけどいいの?」


「え?」


「紫音みたいに、
 お前を抱きしめたりもしないし、
 十環みたいに、
『かわいい』とか甘い言葉も言わないけど、
それでも俺でいい?」


「う……うん」


「六花のことを絶対に束縛するし、
 他の男と楽しそうに話していたら、
 機嫌が悪くなる自信大だけど、
 それでもいい?」


「……いい」



「それなら……」「でも……」


 お兄ちゃんが何かを言いかけたとき、
 私も同時に声を発した。

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