白雪姫に極甘な毒リンゴを

 家に帰り、夕飯の支度を終え、
 帰ってきたお兄ちゃんとお父さんと3人で、
 夕飯を食べた。


 お父さんはまだ仕事が残っているみたいで、
 「今日は泊まり込みになりそうだ」と言って、
 シャワーをささっと浴びて、
 また会社に行ってしまった。


 わっ!


 いきなりお兄ちゃんと二人だけ?


 付き合う前は、
 夜にお兄ちゃんと二人だけでも、
 全然平気だったのに。


 なぜかわからないけど、
 急に心臓がドクドクしてきた。


 家事も全部終わらせちゃったし、
 お風呂もはいちゃったし、何をしよう。


 そ……そうだ。


 こんな時は。逃げ込もう! 
 自分の部屋に。


 そう思って、リビングのソファで、
 日本史のテキストとにらめっこをしている
 お兄ちゃんに声をかけた。


「お……お兄ちゃん……

 お……おやすみ!!」


「は? もう寝るとかありえないんだけど」


「だ……だって。 もう9時だし。

 お兄ちゃんの受験勉強の邪魔しちゃ、
 悪いかなって思って……」


「行くぞ!」


「え? 行くってどこに?」


「だから……俺の部屋」


 え? 

 え? 

 えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!


 お……お……お兄ちゃんの部屋???
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