白雪姫に極甘な毒リンゴを
苦苦たこ焼き
☆一颯side☆
俺の部屋に、六花がいる。
ちょっと前の俺からしたら、
信じられないくらい奇跡みたいなこの時間。
六花と付き合っても、六花に対して
悪魔モードになっちゃうんだろうなって
思っていたけど、
幸せすぎて、
つい六花に本音を漏らしてしまう時が。
だって六花の奴、かわいすぎだから。
今も俺の目の前で、
俺がやっと渡せたプレゼントを手に取って、
天使みたいに微笑んでいるし。
リンゴの刺繍を指でなぞって、
『かわいい』って目を潤ませているし。
つい言ってしまいそうになった。
『六花のほうが、マジでかわいいから』って。
あ~
今すぐ六花を抱きしめたい!
六花を俺のベッドに連れ込んで、
抱きしめながら朝まで眠りたい。
そんな欲求が渦巻く俺の頭の中で、
『ピコンピコン』と警告音が鳴り響いている。
これは『今すぐ六花から離れろ』
というサイン。
もっと一緒にいたいのに、
六花の傍から離れたくないのに。
俺の頭の中で、理性と欲望が戦っているとき、
六花が甘える声が俺の耳に届いた。
「ねえ、お兄ちゃん……
ちょっと相談したいことがあるんだけど……」
トロンとした瞳。
上目遣いで俺を見つめ、
首をちょこんと横にかしげる六花。
ダ……ダメだ……
六花の大好きな表情ランキングで、
上位入賞してしまうくらいのかわいさ。
俺、そろそろ限界かも。
理性を保っていられる限界。
なんとかいつもの自分を作って、
六花に聞いてみた。
「相談って、なんだよ?」
あ~
なんかぶっきらぼうになっちゃったし。
今の態度、
六花に嫌われないかすっげー心配。
そんな俺の心配には、
全く気付いていない六花が口を開いた。