白雪姫に極甘な毒リンゴを


「じゃあさ、六花が食べさせて」


 瞬きをぱちぱちして、戸惑い気味の六花。


 でも、六花はつま楊枝を持つと、
 たこ焼きを、俺の口の前に持ってきた。


 俺は六花の腕をつかみ、
 そのままパクリとたこ焼きを頬張った。


 心配そうに俺を見つめる六花。


 ま、そうだろうな。


 極甘が大好きな俺に、
 苦みマックスのたこ焼きを食べさせた
 張本人だからな。


 でも不思議。


 苦いのが苦手なはずなのに、
 涙が出そうなくらいおいしい。


 俺が欲しくて、欲しくてしょうがなかった、
 六花の愛が詰まっているんだから、
 おいしくて当然だよな。


 心配そうに俺を見つめる六花に、
 とびきりの笑顔を向けて言った。


「すっげー美味しい。 極甘じゃん」


 俺の言葉を聞いて、
 花が開くように穏やかに微笑んだ六花が、
 これまたかわいくて、
 抱きしめずにはいられなかった。
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