白雪姫に極甘な毒リンゴを
☆六花side☆
お兄ちゃんと付き合いだして、
しばらくたちました。
付き合う前までは、
鬼みたいに私をののしっていたのに。
そんな過去があったよね?って思うくらい、
お兄ちゃんは私に極甘です。
今日も、朝ごはん&お弁当を作っていると、
階段を猛スピードで駆け下りる音が。
「六花おはよう」
「……お兄ちゃん
……おはよう」
最近はいつもこうだ。
朝起きるなり、
ダダダと走ってきて私に抱き着くお兄ちゃん。
「やっぱり、六花に抱き着くと癒される~
六花が、
夜も俺の部屋で寝てくれればいいのに」
「そ……それはムリだよ……
お父さんもいるし……」
「じゃあ、父さんがいない日ならいいよな」
「そういう問題じゃなくて……」
お兄ちゃんと一緒の部屋で寝るなんて、
ムリだよ。
緊張して、一晩中固まっちゃうもん。私。
最近は、
お兄ちゃんの部屋に入ることが
怖くなくなった。
家事を終えて寝る前まで、
お兄ちゃんの部屋で過ごしているからかな。
でも……
違う怖さが……
お兄ちゃんが、私に抱き着いたり、
私の膝の上で横になったりするから、
これ以上エスカレートしたら、
お兄ちゃんが狼になりそうでちょっと怖い。
って、お兄ちゃん。
私に抱き着いたままで、
離れてくれないし。
「お兄ちゃん、そろそろ離れてくれないかな?
このまま抱き着かれていたら、
料理作れないよ」
「料理なんていい。
六花とくっついていられるなら、
朝ごはんもお弁当もいらないし」
う……嬉しいけど……
困っちゃうよ。
だってあと少しで、
料理が出来上がるんだから。
ここは、鬼で行くんだ。
私は語気を強めて言った。
「お兄ちゃん、私、本当に怒るよ!
もうすぐで朝ごはんも、
お弁当も出来上がるの!
早起きして作ったのに、
いらないって言うなら、
これからは私が作った料理、
一口も食べないでね」
「り……りっか……」
お兄ちゃんは、肩を落とし、
足を引きずりながらリビングに行くと、
崩れるようにソファで横になった。
お兄ちゃん、
怒られたワンコみたいに拗ねている。
ちょっと言いすぎちゃったかな。