白雪姫に極甘な毒リンゴを


 私も反省していると、
 ソファの背もたれから目から上だけを出して、
 いじけたようにつぶやいたお兄ちゃん。


「だって昨日……

 告白されてたじゃん」


 え? 


 お兄ちゃんに見られていた?


「で……でも、ちゃんと断ったよ。

 大好きな彼がいるからって。

 そしたら、走り去って行っちゃったし」


 恐ろしいものを見てしまった!って顔で
 逃げて行っちゃったけど、何だったんだろう。


「それ……

 俺が睨んだから。そいつのこと」


 えぇぇぇ!! 


 そうだったの??


 きっとお兄ちゃんのことだから、
 般若みたいに恐ろしい顔で、睨んだと思う。


 逃げ出しちゃうのも納得だよ。


「最近の六花、
 明らかに前よりもかわいくなってるじゃん。

 だから……

 お前を学校に行かせたくない。

 また、告白とかされそうだし……

 嫉妬深い俺よりも魅力的な奴とか、
 たくさんいそうだし……」


 お兄ちゃんって、
 もっと自信満々って感じだったのに。


 私のこととなると、
 こんなかわいくなっちゃうんだね。


 私はニコニコしながら、
 お兄ちゃんの横に座った。
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