白雪姫に極甘な毒リンゴを
☆一颯side☆
たこ焼きを頬張る俺に、
六花がおどおどしながら言った。
「お兄ちゃんのこと……
う……ん、なんでもない」
「なんでもないって顔してないだろ?
なんだよ」
「え……と……
『いっくん』って……呼びたいな」
リンゴみたいに顔が真っ赤になった六花。
すごく、
勇気を出して言ってくれたのがわかって、
俺も嬉しさが込み上げてきた。
「……ダメかな?」
恥ずかしそうに俺を見上げる六花が、
かわいくてしかたがない。
その呼び方、良い!
良すぎる!
今すぐ呼んで欲しい!
そう思うのに、
ついつい天邪鬼になってしまう俺。
「今ここで、
俺への気持ちを伝えてくれたらいいよ。
その呼び名で呼んでも」
六花は目を見開いて驚くと、
モジモジしながら口を開いた。
「いっくんが私のことを……
一生好きでいてくれたら……いいな」
なんで六花は、こんなにかわいいんだ。
ダメだ。
クラクラする。
頬を赤らめて髪をつまんで
イジイジしている六花が、
愛おしくてしょうがない。
俺はガバっと六花を包み込んだ。
そして耳元で囁いた。
「俺さ、将来1級建築士になったら、
六花と住む家を絶対に建てるからな」
俺にとっては、
六花への仮のプロポーズだったんだけど、
気づいてくれたかな?
鈍い六花には、こんな遠回しのプロポーズじゃ
気づいてなんてくれそうにないけど。
俺はまだ高3。
六花を養えるようになったら、
その時には六花にもわかるように
正式なプロポーズするからな。
俺は大好きな六花をもっと感じたくて、
抱きしめた腕に、力を込めた