白雪姫に極甘な毒リンゴを
「百目さん、呼んだ?」
七星くんが桃ちゃんに向ける笑顔が
見たくなくて、
私は黙ってうつむいた。
「七星くんに聞きたいことがあってさ。
昨日、六花のたこ焼き食べたでしょ?
おいしかった?」
「え?
ああ、すごくおいしかったけど」
二人の顔を見る勇気がなくて、
顔があげられない。
桃ちゃん、何をするつもり?
「じゃあ、六花、決まりね!」
「ん?」
「もうすぐ六花の誕生日じゃん。
その日、六花の家で、
たこ焼きパーティーしよう!」
「あ……うん。良いけど……」
「七星くん、ありがとね。
ただ、六花のたこ焼きがおいしかったか
教えてもらいたかっただけだから」
桃ちゃんの言葉に、
七星くんは表情を曇らせ、
くるりと後ろを向いた。
は~ なんだ。
ただ、
七星くんに確認したかっただけなのか。
とりあえず一安心。
とゆっくり息を吐いていると……
「六花のお誕生会が、
私たち二人だけじゃ寂しくない?
1組の紫音(しおん)くんも誘っちゃおうよ」
「え? だ……だれ?」
初めて聞く名前すぎて、
なんて答えていいかわからない。
もしや、桃ちゃんの、好きな人?
「六花、知らないの?
バスケ部の紫音くんだよ。
1年なのにレギュラーだって、
女子たちが騒いでるじゃん!」
全く誰かわからない……
でもなんで、
その紫音くんって人を呼びたいんだろう……
「紫音くん、かわいそう……
六花のこと好きなのに……」
え?
ええ!!!!
ちょっと! 桃ちゃん!
嘘をつくなら、もっとましな嘘つこうよ!
私のことを好きって言ってくれる
変わり者なんて、
この世にいないんだからね。
あ……桃ちゃんと、お父さん以外……。
「嘘じゃないから。
この前、紫音くんに頼まれたんだから。
六花と二人で話したいから協力してって。
で、いいの? よくないの?
六花の誕生会に、紫音くんを誘っても」
「え……と……」
私がなんて答えていいか悩んでいると……
「良くない……」
え?
今の声って……
七星くん?