白雪姫に極甘な毒リンゴを
それから午前中の授業中、
ずっと考えていた。
七星くんへのメッセージ、どうしようって。
そしてお昼休みになるギリギリで、
私はカードに思いを込めた。
そのカードを、お弁当袋の中に忍ばせた時、
七星くんが私の所にやってきた。
「はい、りっちゃん。お弁当!」
七星くんのさわやかな笑顔に、
心臓が爆音で動き出す。
「ありがとう……これ……」
私も自分の作ったお弁当を、
七星くんに差し出した。
え? え?
七星くんの顔が、急に私の肩あたり。
近い……近い……
「エノキの肉巻き、入れておいたから」
耳元でささやかれて、
その甘い声にドキドキが再加速。
し……心臓が持ちません……
心臓が過労死しちゃいそうです……
私はなんとか、声を絞り出した。
「ありがとう……
私も野菜の肉巻き……入れました」
「りっちゃん、ありがとう」
そう言うと、
七星くんは教室から出て行った。
男女6人で。
もちろん、クルミちゃんも一緒に。
「六花!!
良い雰囲気だったじゃん!! 七星くんと」
お弁当を交換するのを、
自分の席からそっと見ていた桃ちゃんが、
お昼をもって私の所に来た。
「桃ちゃん……どうしよう……
私……心臓が止まっちゃうかも……」
「そりゃ嬉しくて、心臓止まっちゃうよね。
六花のために作ってくれたお弁当だもんね」
それもそうだけど、
心停止しちゃうかもしれない理由は
それだけじゃない。
「書いちゃった……」
「もしかして、七星くんのお弁当に
メッセージカードを入れたの?
頑張ったじゃん!六花!
で、なんて書いたの?」
桃ちゃんは目をキラキラさせながら、
私をまっすぐ見つめてくる。
「『好きな人……いますか?』って……」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!」