白雪姫に極甘な毒リンゴを
七星くん……
もう戻ってこないよね……
誰もいなくなった静かな教室。
私の書いたメッセージカードを
見てくれたのかがどうしても気になって、
お弁当の袋のチャックを、
ゆっくり開けてみる。
あ!!
カードが入っている!!
見る勇気なんてない意気地なしのくせに、
やっぱり心の隅で、
期待をしてしまう自分がいる。
七星くんが、
私のことを好きでいてくれますようにって。
恐る恐る、カードを手に取ると、
それは私が書いたカードだった。
もしかして……
このカードに気づかなかったのかな?
カードをお弁当袋にしまおうとした時、
私以外が書いた文字を見つけた。
アルファベット6文字を。
『七星くん、好きな人はいますか?』と
私が書いた文字の下に
はっきりと書いてあったのは
『KURUMI』
時間が止まったように、
私の体も動かない。
……く……る……み……
ひらがなに変換して、
やっと頭の中で理解ができた。
フラれたんだ……
私……
ちゃんと告白したわけじゃないけど、
七星くんは、はっきり私に教えてくれた。
私のことは、好きじゃないって……
好きじゃないなら、
お弁当交換なんてしないで欲しかった。
お揃いの星のネックレスなんて、
プレゼントして欲しくなかった。
誕生会にだって来ないでほしかった。
それに……
カラスから守るために、
たこ焼きをパクッと、
食べないでほしかった。
そんなことされたら、恋しちゃうのに……
ちょっとは、期待しちゃうのに……
小5から、
ずっと片思いしていた七星くんへの恋心。
このお弁当の袋の中に詰め込んで、
ぽいって捨ててしまいたいと、
心からそう思った。