白雪姫に極甘な毒リンゴを
か……かっこいい……
私の心臓がジェットコースターに乗せられて、
ゆっくりと頂上まで登っていくような
ドキドキ感。
どうしよう……
ドキドキが止まらない……
その時
『カー!!! カー!!!』
俺の獲物を横取りしやがって!と
言わんばかりに、
カラスが七星くんの頭をつついてきた。
「アハハ!やめろよ~!」
七星くん……
カラスに本気で攻撃されているのに……
なぜ笑えるの?
素の自分をさらけ出しているような
無邪気な笑顔の七星くん。
その笑顔が眩しくて、目が離せられない。
その時、七星くんと目が合ってしまった。
ひゃ!!
ダメダメ!
私みたいにブサイクが、
男の子を見つめたら、キモイって思われちゃう!
私は急いで、視線を外した。
その時、
七星くんが私に向かって口を開いた。
「赤城さんって、昔から無茶をするよね」
え? 昔から? 無茶?
なんの……こと?
「カラスは凶暴だよ!。
たこ焼きなんかあげたら、ケガしちゃうよ」
もしかして七星くん……
カラスから私のこと……守ってくれた??
そんな……
私なんかを守るなんて……あるわけないよ。
そうだよ。そんなはずないよ。
でも一言だけ、ちゃんと伝えなきゃ……
「七星……くん……あり……が……とう……」
親友の桃ももちゃん以外に
話すことなんてないから、
小さな声しか出なかった。
ましてや……七星くんにだもん……
でも、ずっと守ってきた約束を破って、
口角を少しだけ上げて笑ってみた。
男の子に笑ってみたのって、
小学校低学年以来かも。
ふと七星くんを見ると、
ロボットみたいにカチカチに固まっている。
あ、そう言うことか!!
私なんかが笑ったから、
恐怖で体中がキンキンに冷やされて
凍っちゃったんだ。
雪女に息を吹きかけられたみたいに。
逃げよう!
早くこの場から逃げよう!
そう思って走り去ろうとした時。
「待って!」
七星くんが急に、私の手首をつかんだ。
え? え?
何が起きているの?
七星くんの顔……
赤くなっているような……