白雪姫に極甘な毒リンゴを


「お兄ちゃん……ジェラートありがとう……
 それと……これ……」

 紙袋から取り出し、
 お兄ちゃんの前にそっと出した。


「勉強を教えてくれたお礼。

 お兄ちゃん、
 自転車の鍵をすぐなくすから、これつけて。

 抹茶マカロンのキーホルダー」


 お兄ちゃん、接客スマイルを忘れて、
 目をパチパチして固まっている。


「あ……サンキュー……」


「私の自転車のカギにつけるのは、
 苺マカロンのキーホルダーだからね。

 色違いだから、間違えないでね」


「あ……ああ」


「一颯、次のお客さんがお待ちかねだよ」


 後ろを見ると
『早く、一颯先輩に接客して
 欲しいんですけど!!』と言わんばかりの
 紫音くんが、私を見つめていた。


 ごめんごめん。

 今すぐ譲ります。 

 お兄ちゃんのこと。


「お兄ちゃん、バイト頑張ってね」


「六花も、暗くなる前に帰れよ」


 最後はお兄ちゃんモードで微笑んで、
 待ちかねていた紫音くんのところに急いだ。
 
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