白雪姫に極甘な毒リンゴを
◇◇◇

 七星くんへの気持ちを封印するため、
 星空のペンケースを、
 家の机の引き出しの奥の奥に
 しまい込んだ日から、もうすぐ2週間。


 七星くんは、私に挨拶することもなければ、
 目さえ合わせてはくれない。


 七星くんの笑い声がする方を見ると、
 いつも隣には幸せオーラ全開の
 クルミちゃんがいる。


 私なんかが、誰かを好きになること自体、
 恥ずかしいことだよね。


 だって、こんなメガネでおさげで、
 顔なんて可愛くなくて、
 性格だって暗いんだから。


 人に好かれる要素なんて、
 一つも持ち合わせてないんだから。


 そんなことは、
 子供の頃からわかっている。

 それにお兄ちゃんにさんざん言われてきた。


 それでも思ってしまう時がある。


 誰かに……
 愛されたいなって……


 それが七星くんだったら……
 良かったのになって……


 は~


 もう七星くんに無視され続けるほど
 嫌われているのに、まだ忘れられない。


 七星くんのこと。



 その時、聞きたくない甘ったるい声が、
 私の許可なく耳の奥に飛び込んできた。
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