元カレと再恋愛ってありですか?
自分のマンションの玄関の前。大きく深呼吸をしてからカギを開けようとすると『ガチャ』となかからカギが開いて扉が開いた。

「・・・ただ」
ただいまと言い切る前に奏介が中からはだしのまま玄関に出てきて紗那の体を抱きしめる。
「心配した」
そう言った奏介の体が外を歩いて帰ってきた自分の体よりも冷たくて紗那は泣きそうになる。

でも、今日は泣いたらダメだ。

ここで泣いたらダメだ。

紗那はぐっと涙をこらえて奏介の背中に手をまわした。
これが最後かもしれないと思いながら・・・

強く強く紗那の体を抱きしめる奏介。
すっかり冷え切った体が紗那を心配して玄関でずっと待っていたのだとわかる。

「心配した。」
「ごめん・・・」
奏介が耳元でささやく言葉に謝ることしかできない紗那。
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