元カレと再恋愛ってありですか?
紗那が浴室から出るとチーズのいい香りがした。

約束していたチーズリゾット、奏介は作ってくれていたのだと気づく。
ダイニングテーブルの上にはおいしそうなリゾットと野菜のスープが置かれていた。

「あったかいうちに食べてな」
「・・・うん。奏介は?食べたの?」
「一緒に食べる」
「ごめんね・・・」
紗那は奏介が食事もとらずに自分を待っていたのだとわかり申し訳ない気持ちが増した。
謝る紗那に奏介は首を横に振る。

本当は怒っているのかもしれない。なのに、奏介はそれを顔に出さない。言葉にもしない。
大人になったから?遠慮してるから?紗那は奏介の顔を覗き込んだ。
「ん?どうした?」
「怒ってる?」
「なんで?」
「だって・・・」
「怒ってないよ。怒るわけないだろ。でも、心配した。」
奏介がまっすぐに紗那を見つめて言う。その顔に偽りがないことはすぐにわかった。
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