元カレと再恋愛ってありですか?
手術室へ入った紗那。
奏介は手術室の入り口にある椅子に座り頭を抱えていた。

『ねぇ、奏介』
『ん?』
『もしものことがあっても』
『もしものはなしなんてすんな』
奏介はレストランが休みの日の夜は紗那の病室に泊まっていた。
紗那の眠るベッドに一緒に横になり、奏介が紗那のお腹に触れていると紗那が真剣な顔で話始めた。
『きっと大丈夫だけど、でも聞いて』
その声が震えていて、奏介は聞くしかなかった。
『わかった・・・』
『私、この子を授かれてよかったって思ってる。』
『あぁ。』
『消えちゃった命も。私、ずっと忘れないよ』
亡くした命もあった・・・。
『俺も忘れない』
奏介も今でも大切に思っている。生まれることのできなかった命も。
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