オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
それは反則だろ…。

「ほんと、困るんだけど。」

あーもう。ほんとに可愛すぎる。

とにかくちゃんと誤解を解かないとな。

部屋に帰って、ももが落ち着くのを待って、

ようやく静寂を破る。

「前に言ったと思うんだけど。」

ももの冷えた手を温めるように握り、顔を近

づける。

「あんまり可愛いこと言わないでって。」

ももは自分の可愛さにも、オレがどれだけも

もに惹かれているかも気づいてない。

まぁ、それがももらしいけど。

オレの気持ちが届いたのか、やっと笑ってく

れた。

「蓮人さんも覚悟してください。嫌いになん

てさせませんから。」

ももは頬に不意打ち(のつもり)のキスをし

て、仕返そうとしたんだろうけど、また耳ま

で赤く染めていく。

ほんと敵わねぇよ。

「可愛すぎて嫌いになれそうにない。」

ももの薄い唇に短くキスを落とし、体まで溶

かすように深く口づけていく。

この恋は、オレにとって最初で最後の恋だ。

今は無理だけど。

お前の身も心も、オレに全部奪わせて。

隣で眠るももの寝顔を見ながら、オレは決心

した。

ももとずっと一緒にいるために、オレは自分

の過去を知らなきゃいけない。

夜が明けて、バイトがあるももをカフェに送

ってから、オレは施設に向かった。

「先生。お久しぶりです。」

先生からの手紙に書かれた「大切な人」の本

当の意味がわかったよ。
< 112 / 185 >

この作品をシェア

pagetop