オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
蓮人以外のデートじゃ楽しくない。蓮人は私

のたった一人のヒーローなの。かっこ悪いわ

けないでしょ。

蓮人の隣に私なんかがいていいのか不安にな

ることだってある。

蓮人に私がもったいないんじゃない。

「私は彼の隣を、今よりもっと堂々と歩ける

女性になりたいんです。」

「はっ?」

私の言葉に目の色が変わった男に背筋が凍

る。

「別に本気とかじゃねぇから。オレは一回遊

べればいいの。ほら、来いよ。」

無理やり引っ張ろうとする男に精一杯抵抗す

るけど、びくともしない。

蓮人の名前を呼ぼうとしたその時。

「お前、襲われ体質なのかよ。」

苦笑いで現れたのは私のヒーロー。

「なんだてめぇ。」

突然のヒーローの登場に驚いた男の手が緩ん

だ。今のうちに…と手を思いっきり振って、

男の手が離れると、蓮人の胸に飛び込んだ。

「蓮人、ありがとう。」

結局また助けられちゃった。

「ももの愛の告白も聞けたし、許してやる

よ。」

き、聞いてたの!?その間に助けてよ…。

なんて思いながらも、抱かれる蓮人の腕の

中で幸せを噛みしめていた。

「何二人で楽しんでるんだよ。」

すっかり二人の世界に入ってしまって、男

の存在を完全に忘れてしまっていた。

「オレの可愛い彼女に謝ってくれる?」

蓮人は私を抱く腕により一層力を込めなが

ら言い放った。

「悪かったな。」
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