オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
そう話す先生の目は、オレをまっすぐに捕ら

える。

「蓮人くんよ。」

「でも、お父さんとは25歳で結婚したっ

て…。」

それはオレの父親と早織ちゃんの父親が違う

ことを示している。

「あなたたち、聞く覚悟はできてる?」

これから語られる先生の過去は、早織ちゃん

の過去であり、オレの過去でもある。先生は

厳しい表情で問いかけたけど、その言葉の裏

にオレと早織ちゃんを守ろうとする母親の覚

悟が見える。

「できています。」

「本当は怖いよ…。だけど、お母さんも一緒

でしょ?」

早織ちゃんは怖いと言いながらも、先生を安

心させるように微笑んだ。

「わかったわ。」

それから語られた先生の過去は、オレ達の想

像を凌駕する物語だった。

オレの両親は中学時代から付き合っていたと

言う。学校中、それこそ教員たちまでもが知

る仲良しカップルで有名だったそうだ。

二人は高校卒業後すぐに結婚したけど、子供

にはなかなか恵まれなかった。それでも両親

は諦めなかった。

「二人が頑張っている頃、私は彼の子を妊娠

した。正直嬉しくなかったわ。当時の彼はも

う、私の好きな彼じゃなかった。」

「どういうこと?」

「浮気してたの。仕事もしないで、遊び歩い

て。きっといつか目を覚ましてくれる。優し

い彼に戻ってくれる。妊娠したと言えば喜ん

でくれるんじゃないかって。でもね…。」
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