オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
その瞬間全部が見えた気がした。
母さんが先生にオレを託した理由も。先生が
その願いを引き受けた理由も。先生が施設で
オレを育てた理由も。
「その赤ちゃんは…わた、し……?」
早織ちゃんの大きく見開いた瞳から涙が零れ
落ちた。次の瞬間、先生は静かに頷いて頬に
涙の筋が走る。
「これが全て。今まで話さなくて、二人に苦
しい思いさせて、ごめんね…。」
違う…。並んだのは事実だけ。先生は話さな
かったんじゃない。話せなかったんだ。両親
のことも、オレのことも、早織ちゃんのこと
も、愛してくれていたから。
「先生、ごめん。」
謝るのは、オレだ…。どんな過去があったと
しても、先生が大切にオレを育ててくれたか
ら今がある。両親から愛された記憶は残って
ないけど、先生が「家族」を教えてくれた。
「オレよりずっと重いもの、ずっと一人で持
ってくれていたんですね。」
「お母さん、話してくれてありがとう。ずっ
と守ってくれて…ありがとう。」
先生は過去から、秘密から、全てから解放さ
れたのか、顔を両手で覆いながら泣き崩れ
た。
「誰が何と言おうと、オレのお母さんはずっ
と先生だった。血が繋がってても、繋がって
なくても。」
堪えていた涙がオレの目からも零れ落ちる。
きっと母さんは最期にオレを託して、伝えた
かったんだ。「大丈夫」って。「幸せになっ
て」って。
母さんが先生にオレを託した理由も。先生が
その願いを引き受けた理由も。先生が施設で
オレを育てた理由も。
「その赤ちゃんは…わた、し……?」
早織ちゃんの大きく見開いた瞳から涙が零れ
落ちた。次の瞬間、先生は静かに頷いて頬に
涙の筋が走る。
「これが全て。今まで話さなくて、二人に苦
しい思いさせて、ごめんね…。」
違う…。並んだのは事実だけ。先生は話さな
かったんじゃない。話せなかったんだ。両親
のことも、オレのことも、早織ちゃんのこと
も、愛してくれていたから。
「先生、ごめん。」
謝るのは、オレだ…。どんな過去があったと
しても、先生が大切にオレを育ててくれたか
ら今がある。両親から愛された記憶は残って
ないけど、先生が「家族」を教えてくれた。
「オレよりずっと重いもの、ずっと一人で持
ってくれていたんですね。」
「お母さん、話してくれてありがとう。ずっ
と守ってくれて…ありがとう。」
先生は過去から、秘密から、全てから解放さ
れたのか、顔を両手で覆いながら泣き崩れ
た。
「誰が何と言おうと、オレのお母さんはずっ
と先生だった。血が繋がってても、繋がって
なくても。」
堪えていた涙がオレの目からも零れ落ちる。
きっと母さんは最期にオレを託して、伝えた
かったんだ。「大丈夫」って。「幸せになっ
て」って。