オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「もも、元気にやってるの?」

「うん。元気だよ。」

何気ない会話。だけど、私は何かが引っ掛か

った。いつもはバイトが終わった後の時間な

のに。

「ももに聞きたいことがあるの。」

お母さんは真剣な声色で問いかける。

「彼氏できたでしょ。」

「えっ!?」

突然核心を突かれて、否定することもできな

かった。

「お母さんは反対してないよ。でも、一人で

上京した理由を忘れないで頑張りなさい。」

お母さんはきっと、お父さんとお兄ちゃんが

いない時間に電話してくれたんだ。お母さん

の優しさが胸に染み渡る。

「お母さん。ありがとう。」

「うん。じゃあね。」

電話を切って、カフェに向かった。

「龍也さん。私、将来の夢がなくて、それを

見つけるために一人で上京してきたんで

す。」

私の話を相槌を打ちながら、静かに聞いてく

れる龍也さん。

「まだはっきりとは見えないけど、このお仕

事が楽しいなって思ってます。」

文化祭で龍也さんとケーキを作って、カフェ

でもメニューとして出してもらって、学校で

もお店でも、お客さんの笑顔をいっぱい見れ

たことが、すごく嬉しかった。

これが夢に繋がっているのかはわからないけ

ど、こんな風にお客さんの笑顔をこれからも

見たい。

「ももちゃんはまだ16歳なんだし、ゆっく

り考えればいいんだよ。オレはどんな答えを

見つけても応援するよ。」
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