オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
蓮人の過去を聞いて正直戸惑った。高校生の

私に何ができるんだろうと悩んだ。きっとで

きることなんて何もない。だったらせめて、

そばにいさせて。大好きな人を、愛する人を

支えていけるくらい、強くなってみせるか

ら。

「私は、ずっとそばにいる。だから蓮人の背

負ってきたもの、半分持たせて?」

私の想いが余ることなく伝わるように、蓮人

の首に腕を回して抱きしめる。蓮人は返事の

代わりに抱きしめ返してくれる。

「明日、両親の月命日なんだ。一緒に来てほ

しい。」

震えた蓮人の声が耳の奥に響く。

「うん。私もご両親にご挨拶したいな。」

蓮人の涙声につられて私まで泣きそうになる

から、つい恥ずかしいことを言ってしまっ

た。これじゃまるで…。

「結婚するみたいだな。」

私が思った言葉を蓮人に先に言われて、全身

が熱くなる。

「そんなつもりじゃ…!」

「オレもももの家族に挨拶に行かないと

な。」

「えっ!」

紹介したいのは山々なんだけど、お父さんと

お兄ちゃんが大激怒の未来がよく見える…。

「オレの隣はもも専用だからな。」

私の隣だって、蓮人だけのものだよ…。

「二人なら大丈夫だよ。」

私たちは手を繋いで見つめ合って、またお互

いの体を抱き寄せあった。

小鳥が囀る朝、いつもと違う温もりを感じて

目が覚める。

「おはよ。」

そっか。昨日蓮人の部屋で話を聞いてそのま

ま寝ちゃったんだ。
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