オオカミ様ＶＳ王子様 ～私を賭けたラブゲーム～

昨日の聖菜と玲悟くんとの会話を突然思い出

して、ぶわっと熱がこみあげてくる。

「お、おはよう…ございます…。」

鼻が触れそうなほど近くにある蓮人の整った

顔が直視できなくて、ごまかすように布団を

かぶった。

「なんで隠すんだよ。」

いとも簡単に布団をはぎ取られて真っ赤な顔

を見られてしまう。

「ほ、ほら…寝起きで髪とかボサボサだし…

ね？」

「ボサボサでも可愛いし。」

蓮人の嘘偽りのないまっすぐな言葉に胸がき

ゅんとする。とにかく、想像したことがばれ

てなくて安心…。

「で、何を想像したわけ？」

楽しそうに笑って、私の腰に腕が絡みつく。

そういうことがしたいとか、そういうことじ

ゃないけど…。聖菜たちがあんなこと言うか

ら…！

「顔真っ赤。」

そう言って触れるだけのキスを落とした。

「も、もう！起きるっ！」

恥ずかしさに耐えきれなくて、逃げるように

ベッドを出る。

「あんまり煽んなよ…。」

一人になった寝室で、彼女への甘い感情を零

した蓮人に気づくことはなかった。

「行くか。」

一度自分の部屋に戻って身支度を済ませてか

ら、私たちは蓮人の両親に会いに向かった。

「父さん、母さん。先生から全部聞いたよ。

オレをたくさん愛してくれて、守ってくれて

ありがとう。」

隣で手を合わせる蓮人は、目の前に眠る両親

に感謝を伝えている。その声はどこか安心し

たような声にも聞こえる。