オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
蓮人の中で気持ちが整理できたのかな。なん

て思うと、また目の奥が熱くなってくる。

でも今日は泣かないよ。初めて蓮人の両親に

お会いするんだから。

「父さん、母さん。オレ、好きな人ができた

よ。誰よりも優しくて、誰よりも可愛くて、

この手で幸せにしたいと思える彼女なん

だ。」

蓮人…。私も同じだよ。

私も誰より優しくて、誰よりも強くて、誰よ

りもかっこいいあなたをこの手で幸せにした

い。

「オレはももを愛してる。」

突然告げられた「愛してる」は思っていたよ

り照れくさくて、それなのに私まで言いたく

なる。

「私も蓮人を愛してるよ。」

「恋」が「愛」に変わった日から、ずっと伝

えられなかった言葉。やっと言えた。

「お父さん、お母さん。蓮人さんに出逢って

恋をして、毎日が幸せです。」

ご両親のお墓から蓮人に視線をずらして、も

う一度伝える。

「蓮人だけを愛してるよ。」

「ばーか。」

そう言った蓮人は宝物を見るように微笑んで

いた。

「そういうことはオレに言わせろ。愛して

る。」

好きな人からの「愛してる」だけで、こんな

にも幸せに包まれるなんて知らなかった。

「ももって意外と泣き虫だよな。」

「泣いてないよ。」

お墓からの帰り道、泣きそうになって目を潤

ませていたことを散々からかわれていると。

「蓮人さん?」

突然制服を着た女の子が現れた。
< 142 / 185 >

この作品をシェア

pagetop