オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
愛する人がただ真っ直ぐに愛を伝えてくれ

る。蓮人の言葉を、この幸せを、一つ一つ胸

に刻みつける。

「ももはいつも、家族の話を楽しそうに僕に

話すんです。本当に家族が大好きだって伝わ

ってきて、羨ましいくらいに。」

「蓮人…。」

蓮人の言葉に家族一同驚いた表情を見せた。

「ももが大好きな家族に、二人の交際を認め

て頂かなきゃ意味がない。だから、何度でも

会いに来ます。認めて頂けるまで…。」

蓮人の強い意志が私に、そしてきっと家族に

も伝わった。蓮人の覚悟に私の想いも乗せる

ように一緒に頭を下げる。

「思ったよりもラブラブなのね。」

いつもの明るい声で話すお母さんの声に、思

わず頭をあげる。

「ももが高校生としてやるべきことをしてい

ればお母さんは認める。」

お母さんの見守るような微笑みで、重い空気

が一気に軽くなった気がした。だけど。

「もも。子どものお前にこの半年で見つけら

れたものがあったか?黒宮くん。何も持たな

い君の人生の何が変わったんだ?たった16歳

の娘に誰かの人生を変えるだけの力があると

は思えない。」

そんな言い方しなくたって…。私は自分で何

も考えられないような子どもなんかじゃな

い。

「僕の育ての両親は、僕が4歳の頃、他界し

てます。施設で育ち、施設の先生が親代わり

でした。そんな僕に愛も恋も、誰かを守る覚

悟も、愛し合う幸せも、全部ももが教えてく

れたんです。」
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