オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
寝室を出て、音がするキッチンに向かうと、

フレンチトーストの甘い香りが鼻をくすぐ

る。

「おはよ。」

蓮人はちょうど出来上がったフレンチトース

トをお皿に盛りつけて、テーブルに運んでい

く。

「おはよう…。」

昨晩の出来事を思い出してしまって、蓮人の

顔が見れない…。

「もも、こっち来いよ。」

蓮人はいつも通りで、自分の隣をポンポン叩

いて座るように促す。

言われた通り蓮人の隣に腰を下ろすと、一気

に顔の距離を近づけられる。

「そんなに真っ赤にして、どうしたの?」

蓮人は意地悪く囁いて、私の反応を楽しそう

に見ている。

「な、なんでもないっ!」

無駄な抵抗だとわかってはいるけど、恥ずか

しすぎてどうにかなりそうだった私は、目を

逸らそうとした。

「ちゃんとこっち見ろよ。」

蓮人の手によって強制的に視線を合わせられ

ると。

「おはよ。」

「んん…。」

おはようのキスを交わして、私たちはどちら

からともなく微笑み合った。

「いただきます!」

「いただきます。」

フレンチトーストを二人並んで食べて、他愛

無い話をして、抱き合って、キスをして…。

この幸せを蓮人と一緒に守っていこうと誓っ

た。
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