オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
だけど、蓮人の孤独に誰よりも寄り添ってい

たのはきっと龍也さんだ。優しい龍也さんだ

からこそ、自分のことのように悩んでいたん

じゃないかな。

「お礼を言うのは私の方です。」

龍也さんにこの場所で声を掛けられて、この

カフェでバイトを始めて、蓮人と時間を重ね

て、みんなと時間を重ねて。

「私に居場所をくれたのは龍也さんです。き

っと蓮人もそう思ってますよ?」

蓮人にとって龍也さんは、たった一人の親友

なんだから。

「大人ぶったけどさ。」

龍也さんはクリームを泡立てる手を止めて、

私に真っ直ぐ視線を注ぐ。

「オレ、ももちゃんのこと好きになれてよか

った。オレがちゃんと吹っ切れたら言いたか

ったんだ。」

龍也さんの言葉に涙が滲みそうになったけ

ど、ここは泣くところじゃないから。

「好きになってくれて、ありがとうございま

した。」

精一杯の笑顔を贈る。いつか、龍也さんが言

ってくれたから。私の笑顔に元気を貰ってい

るって。

「来年は可愛い恋人とクリスマス過ごしたい

なぁ!」

クリームを泡立てながらおどけて言う龍也さ

んに、思わず笑みが零れた。

準備が終わって、仕事が終わった蓮人も合流

して、クリスマスパーティーが始まった。

美味しい料理をみんなで食べて、いつもみた

いにはしゃいでいるだけなのに、いつもより

楽しく感じるのは、クリスマスの魔法だった

りするのかな?
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