オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
黒宮さんは細くて、筋肉なんてなさそうなの

に、後ろから見るとやっぱり男の人なんだな

っていつもドキドキする。

「もも。」

「は、はいっ!」

「お前なんで後ろ歩いてんの?」

黒宮さんの真剣な目に引き込まれていく。

「あ、あの…。」

答えに困っていると、ぎゅっと手を引かれ

て、

「お前迷子になりそうだから、ちゃんと握っ

とけよ。」

黒宮さんと初めて会ったのがあんな危ない場

面だったから、心配してくれてるのかな。私

の家の近くだから迷子になんてならないの

に。

「黒宮さんって優しいですよね。」

この時の私は、黒宮さんが何かを抱えている

ことに気付いていた。

黒宮さんは時々寂しそうな顔をする。

笑っているように見えても、たまに孤独を訴

えているような、そんな目をしているときが

ある。

だから、黒宮さんが私を助けてくれたように

私も黒宮さんを孤独から解放してあげたい。

「黒宮さんも私を頼ってください。」

私は、ただ黒宮さんをまっすぐ見つめて、伝

えた。

黒宮さんは優しく微笑んで、「ありがとう」

と返した。

私のアパートの前に着いて、黒宮さんに挨拶

をして部屋に戻ろうとしたとき。

「もも。さっきのまじで嬉しかった。」

そう言って私を抱きしめた。

「黒宮さん…?」
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