オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
こんな経験初めてで驚いたけど、黒宮さんの

役に立てたんだって思うと、嬉しくて。

「私の方が子供で頼りないかもですけど…。

なんでもお話聞きますよ。」

気が付けば、私も黒宮さんの背中に腕を回し

ていた。

クールでかっこいい黒宮さんは私の憧れで、

たどり着けないと思っていたけど。

こんな私でも、誰かの力になれるんだって思

うと、勇気になった。

部屋に着いて、お風呂に入りながら、ふと思

った。

「私、外でぎゅーとかしちゃって…。」

深い意味はなくとも外で男の人とぎゅーなん

て、我ながら大胆…。

自分の行動に恥じていると、スマホの着信が

鳴った。

「あ、お母さんからだ…。」

電話に出ると。

「もも!一週間に一回電話しなさいって約束

したでしょ!」

そうだった…。バイト行ったり、黒宮さんと

遊んだりで忘れてた。

「ごめんなさい!色々と忙しくて…。」

「あんた男部屋に連れ込んだりしてないでし

ょうね!」

「連れ込んでないよ。」

連れ込んではいない。ただ、男の部屋でやむ

を得ず一夜を過ごしたことはあるが。

何もなかったし…。

こんなこと言ったら間違いなく殴られる。

「お前、彼氏とか作ってないよな。」

お母さんの声からお兄ちゃんの声に変わっ

た。

「できてません。」
< 19 / 185 >

この作品をシェア

pagetop