オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
いろんな想いを背負ってオレを育ててくれた

んだ。

「先生、ありがとうございました。」

オレの言葉に先生は目に涙を浮かべて、優し

く微笑んだ。

施設を出ると、もう空は真っ暗だった。

先生の抱えていたものを知って、心臓がえぐ

られるように痛んだ。

先生はオレに何を隠しているんだろう。

無理に話させてはいけないって分かっている

けど。

「父さんと母さんってどういう人だったんだ

ろう。」

オレは立ち止まり、夜桜を見上げて一人小さ

く呟いた。

両親のことを知りたいと初めて思った。

再び歩き出そうとしたその時だった。

「やめてください…。」

どこからか女の子の震えた声が聞こえてく

る。

明らかに怖がっている声だ。

オレは声のする方に歩き出すと。

「かわいいね」

「優しくしてあげるから」

ガラの悪い男たちが、制服姿の女の子を囲ん

でいた。

「オレも混ぜてよ。」

気が付くとオレはそんな言葉を放っていた。

男たちに囲まれている女の子は、オレの方を

見つめていた。

まだあどけなさが残っているが、整った顔立

ちをしているのは分かる。

彼女の目を見て、「守りたい」と本能で思っ

た。

男たちをぶっ飛ばすと、彼女は目に雫を溜め

て、オレを見つめた。

やばい。こいつ可愛すぎる…。

「ありがとうござ…。」
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