オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
いつも頼むブラックコーヒーを勝手に出して

きて。

「なんかあったか。」

と聞いてくる。

龍也はとにかく優しい。

施設を出たばかりのオレに仕事を紹介してく

れたり、一人暮らしの極意とかも教えてもら

った。

なんでかわかんないけど、俺の顔を見るだけ

で、機嫌が良いか悪いか、悩みがあるとか。

なんでもわかっちゃうらしい。

ほんとに敵に回したくないタイプ。

龍也が出してくれたコーヒーを一口飲んで、

次々と話した。

「ももが帰ってから、この辺がザワザワっつ

うのかな。なんか変なんだよな。」

オレは心臓のあたりに手を置いて、龍也に話

していた。

オレの深刻な思いとは裏腹に、龍也は終始ニ

ヤニヤしている。

「おい。真剣に話してんだぞ。」

「はいはい。誰か知らないけど。ついに蓮人

にも春が来ましたかー。」

龍也はそう言いながら、ショーケースにきれ

いに並べられたショートケーキを一つ出し

て、「おめでとう。」と言った。

龍也にはオレに何が起きているかわかるの

か…?

「龍也、オレの体に何が起きてんだ?」

気持ち悪くて落ち着かない。

「何か起きたのは心の方。蓮人は、その子に

恋したんだよ。」

そう龍也は笑って言った。

こ、恋…?

オレが?

女子高生に?

嘘だろ…。

「18歳で初恋ですか!おめでとうございま

す!」
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