オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
冷やかしでしかない言葉と、龍也の嘲笑が混

ざっていた。

「馬鹿にしてるだろ。」

「してないよ。正直嬉しいよ。家族のいない

お前が人を好きになってくれて。」

龍也はいつも平気で優しい言葉をかけてく

る。オレが何度も泣きそうになることも知ら

ずに。

「友達だったんだって。」

「は?」

「先生とオレの両親。」

龍也には話していた。先生から手紙が届いて

いたこと。先生に会いにいくこと。

「そっか。わかってよかったな。」

「あぁ。でも、先生は何か隠しているみたい

だった。」

先生の震える声。あの涙。いつもの先生とは

違う何かを感じた。

「蓮人。お前が大事だからこそ言えないこと

ってあるんじゃねぇか?」

わかってる。先生がオレのこと大事に思って

くれているって。

でも、だからこそ不安なんだ。オレには大事

にしたいと思える家族がいない。先生しか、

家族って呼べる人がいない。

「蓮人の周りは、必ず大事にしたい人で溢れ

るから。今は初恋を楽しめよ。」

沈むオレの顔を見て、元気づけるみたいに、

肩を力強く叩いた。

ケーキを食べ終えると、オレは仕事に向かっ

た。

「オレの周りが大事な人で溢れるか…。」

本当にそうなるといいな。

家族がいないオレにも、そんな未来が来るの

かな。

ももが、その一人になればいいな…。って、

さすがにきもちわりぃな。
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