オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「あなた、昨日ももちゃんと一緒に寝た人で

しょ!」

は?

ももは、こいつに何を言ったんだ?

オレは部屋に泊めた…というより看病してや

っただけだぞ。

寧ろ感謝してほしいんだけど。

まぁ、ももに何も言わなかったのもよくない

のか…?

オレは黙ってももの手を引いて、店を出た。

「お前が心配するようなこと、何もしてねぇ

から。」

不思議なものを見る目をされたので、よりわ

かりやすい言葉を選んで伝えると。

「黒宮さん、そうだと思ってましたよ?」

かわいらしく笑って、そう返す。

初恋と自覚したばかりのオレには、ちょっと

刺激が強い。

顔面に熱が集中したのがわかって、ももには

見られまいと、そそくさと店に戻った。

それからは、ももの友達と龍也に事細かに説

明して、なんとか容疑は晴れた。

時間は遅くなって、ももとの帰り道。

出逢ったばかりのももが好きだと自覚して、

心臓がよく動くのを必死に隠している。

冷静を装って、聖菜と玲悟の話をしている

と、ふと隣から、視線を感じた。

「何見てんの?」

オレの言葉に、わかりやすく動揺するもも。

なんでこいつ、こんなに可愛いんだよ。

「オレに惚れちゃった?」

そんなはずないとわかっているからこそ、い

じめたくなった。

ももの反応はいちいち面白い。

でも、星を見上げる横顔は綺麗で、聖菜と話

すときはなぜか大人ぶっている。
< 38 / 185 >

この作品をシェア

pagetop