オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
愛知の田舎から一人で上京してきたから当た

り前だけど、知ってる人は誰もいない。

「皆さん、入学おめでとう。今日からみんな

の担任を務める藤村です。1年間よろしくお

願いします。」

担任になった藤村先生。背が高くて爽やかな

雰囲気を纏う。周りの女の子は「藤村先生か

っこいい」と言っていて、人気の高い先生な

のだろうと察する。

「明日から学力テストです。遅刻しないよう

に。」

さよならを言って、椅子を立とうとしたその

時。

「白河さん…?」

私の目の前には小さくてかわいらしい女の子

が立っていた。

「えっと…。」

あんな短い自己紹介で私の名前覚えていた

の?

「水上聖菜です!あの…お友達になってくれ

ませんか…?」

目をうるうるさせてじっと見つめる小さな女

の子は、女の私でもドキッとしてしまうくら

い、犯罪級に可愛かった。

「い、いいよ?」

私が可愛さに負けて即答すると、聖菜は飛び

跳ねて喜んだ。

この子はウケると思ってやっているのか…?

はたまた無自覚なのか…?

「おい、聖菜。帰るぞ。」

教室の扉の方から聖菜を呼ぶ声が聞こえた。

聖菜の友達かな。

「玲くん!聖菜の新しいお友達出来たよ!」

玲くんと呼ばれた男がこちらに向かってく

る。

聖菜は「玲くん」の腕に体をくっつけなが

ら、紹介してくれた。
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