オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
色んなアトラクションに乗ったんだけど。

「ここだけは嫌です…。」

目の前には、古い建物。

「日本一怖いお化け屋敷」

このお化け屋敷目当てに、海外からくる人も

たくさんいるほどの人気っぷり。

「もも、怖いのだめなの?」

心配してるかのような言葉だけど、口角は上

がっていて、意地悪な顔をしている。

私、白河ももは超が付くほどの怖がりであ

る。ホラー映画はもちろん、お化け屋敷なん

てもっての外。そのうえ日本一怖いなんて。

「絶対無理ですっ!」

ここに連れてきてくれた蓮人さんには申し訳

ないが、この中にだけは入れない。

「オレ、ももと入りたいんだけどなぁ?」

蓮人さんはずるい。こんなイケメンが顔を近

づけて甘く囁くのは反則としか言いようがな

い。

「違うところならいくらでもついていきます

よっ!」

いくら蓮人さんの頼みでも、今回ばかりは引

き下がるわけにはいかない。

なぜなら、お化けが襲ってくるかもしれない

のだから!

「オレが守ってやるから。」

その言葉と同時に私の手をぎゅっと握ると、

そのまま暗闇の中へと連れ出した。

王子様が連れ出すのって、相場は光の世界と

決まっているような…。

真っ暗で怖いよ…。

「もも、手離すなよ。」

蓮人さんの温かい手が、私の震える手をぎゅ

っと握りしめてくれる。
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