オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「ももちゃん、それが答えだよ?」

「答え?」

つまり…。

蓮人さんへのこの想いは、「恋」ってこと?

「好きなんだろ?蓮人さんが。」

好き。

だけど、恋なんてしたことないから。

これが恋なの?

でも、私が蓮人さんを好きなら、龍也さんは

どうなるの?

私は龍也さんを振ることになるの?

その瞬間、龍也さんの切なく見つめる目を思

い出した。

あんなに優しくしてくれたのに。

あんなに気持ちを伝えてくれたのに。

「私、龍也さんに何も返せないの?」

バイトもさせてもらって。

怪我した時も、あんなに迷惑かけて。

それなのに、恩返しどころか、傷つけること

になるの?

「仕方ないよ。それが恋ってものだよ?」

私、恋に憧れてた。

ドラマみたいなキラキラした、ドキドキした

恋がしたいって思っていた。

でも、現実は違うんだね。

傷ついたり、傷つけたり。

胸が締め付けられるみたいで、苦しい。

「龍也さんには、早めに言った方がいい

ぞ。」

玲悟くんに言われた通り、今日のバイトでち

ゃんと話そう。

そして、迎えた放課後。

「ももちゃん。頑張って!」

告白されたのは初めてだったから、振るのも

当然初めて。緊張で体がこわばる。

カフェの前に着くと、深呼吸をする。

ちゃんと伝えよう。その決意とともにドアを

開けようとする。
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