オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
あと2時間だけ、ももちゃんのこと好きでい

させて。

「ありがとうございました!」

最後のお客さんを見送り、閉店作業が始ま

る。

「龍也さん、夏休み明けに文化祭があるんで

すけど、来ませんか…?」

「そうだよね…。」

やっぱり文化祭に…って。

は???

「ぶ、文化祭!?」

「えっと…はい。」

オレ、振られる準備してたんだけど。

「行っていいなら行くよ?」

でも、蓮人は。あいつのことは誘ってるの

か?

「蓮人も誘ってるの?」

「い、いえ…。」

やっぱり蓮人の話になると、いつものももち

ゃんじゃない。

卑怯かもしれないと思いつつも、文化祭はチ

ャンスだなんて考えてしまった。

蓮人がまだももちゃんのこと好きだなんてわ

かりきってる。ももちゃんが本当に文化祭に

来てほしいのもオレじゃない。

それでも、少しでもいいから、オレのこと好

きになってくれるなら。

次の日からテスト前でバイトを減らし、聖菜

ちゃんと玲悟とカフェで勉強している。

そこそこいい大学に通っているオレは、たま

に勉強を見ている。

「そろそろ帰ろ!」

ももちゃんが教科書を閉じると。

「二人は先に帰っててくれるか?」

玲悟がそう言って、ももちゃんと聖菜ちゃん

を帰らせた。

「龍也さん。蓮人さんと何があったんです

か?」

玲悟からされるとは思わなかった質問だっ

た。
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