オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「なんで?」

オレは仕事を進めながら、聞き返す。

「最近ももが変なんです。あんな蓮人さんの

話をしていたのに、今は全くしません。いつ

も学校前にももを迎えに来ていた蓮人さんも

ずっと来てないんです。」

玲悟は気づいているんだな。ももちゃんが蓮

人を好きだって。

オレは玲悟にあの日のことを話した。

「オレにもわからないんだ。蓮人がどうして

急にももちゃんを諦めようとしたのか。」

オレはももちゃんのことが好きだ。

でも、同時に蓮人もオレにとって大事な親友

だから、蓮人とこのままでいいなんて思って

いない。

蓮人が今もももちゃんを好きなのはわかって

る。ももちゃんが蓮人のこと好きなのもわか

ってるから。

だから。

「文化祭で、もう一度ももちゃんに想いを伝

える。」

それでだめなら、終わりにする。

「龍也さん、オレも文化祭で聖菜に伝えま

す。」

玲悟もついに動くのか。

「玲悟はきっとうまくいくよ。」

聖菜ちゃんを一途に想い、ももちゃんのこ

とまでちゃんと見ている優しい玲悟ならき

っと大丈夫。

オレは応援の意味を込めて、カプチーノを

出した。

テストが終わり、ももちゃんの高校では、

文化祭の準備が始まったらしい。

「龍也さん。文化祭でケーキを出すことに

なったんですけど、私作ったことなく

て…。」

「オレが手伝ってあげるよ。」
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