オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
ももちゃんは「ありがとう」とだけ言って、

家に帰った。

どうしたら、オレのこと見てくれるの?

夜の冷たい風の中で、ただももちゃんの背中

を見送ることしかできなかった。

7月も下旬に入り、ももちゃんは夏休みに入

った。

「ももちゃん!会いたかった~!」

カフェに来るなり、ももちゃん飛びつく聖菜

ちゃん。

ほんとに仲良しだな。というよりは、聖菜ち

ゃんがももちゃんのこと大好きなんだよね。

バイト中のももちゃんにずっとくっついてい

る聖菜ちゃんに自然と頬が緩む。

文化祭の準備で学校に行くこともあるみたい

で、みんな忙しそうだけど、ももちゃんの話

を聞く限りはとても楽しそうだ。

「龍也さんも文化祭来るんですよね!」

聖菜ちゃんが目をキラキラさせながらオレを

見た。

「行くよ。楽しみにしてるからね。」

オレがそう答えると、聖菜ちゃんは嬉しそう

にケーキを頬張った。

ももちゃんは、そんな聖菜ちゃんを見て、微

笑んでいた。

「やっぱりももちゃんも聖菜ちゃん可愛いと

思うんだね。」

コーヒーカップを洗うももちゃんのそばで言

うと。

「聖菜は天然で可愛いけど、それだけじゃな

いんです。」

ももちゃんは聖菜ちゃんをまっすぐ見つめて

話した。

「聖菜は周りをすごく見ているんです。私に

色んなこと教えてくれたんです。」

「色んなこと?」
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