オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
オレが聞いても、それ以上何も話してくれな

くて。ただひとつわかることは、ももちゃん

は、聖菜ちゃんと玲悟を大切に思っているっ

てこと。

それから聖菜ちゃんと玲悟は夕方まで夏休み

の宿題をしてから帰った。

「ももちゃんはバイトいっぱい入ってるけど

宿題とか大丈夫なの?」

「もちろんです!」

元気に返事するももちゃんだけど、目の下に

クマを作り、疲れた顔をしていた。

バイトもして、宿題もして、おまけに文化祭

の準備も頑張っている。

きっと、蓮人のことも考えているんだろう。

体力的にも精神的にもギリギリなはずだ。

「無理しちゃだめだよ。」

「ありがとうございます。」

そして、オレたちは閉店作業をして、カフェ

を出た。

「明日で連勤最後だよね?」

退勤時間が一緒の時は、ももちゃんを家まで

送るようにしている。

「そうですね。また明日もよろしくお願いし

ます。」

そう言ってももちゃんは家に入った。

最近のももちゃんは笑ってはいるけど、顔色

は悪く、無理をしていることがわかる。

次の日、いつも通りカフェに向かい、店を開

けた。

しかし、時間になってもももちゃんは来な

い。

「店長。ももちゃんから連絡は?」

店長はただ不安そうな顔で、首を横に振る。

昨日、ももちゃん顔色すごく悪かったし。

「オレ、ももちゃんの家行ってきます。」
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