オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「んん…。」

ももちゃんは目を覚ました。

「起きた?」

声をかけると、まだ半開きだった瞼が突然大

きく見開かれる。

「りゅ、龍也さん!?」

ももちゃんは一人百面相しながら、何があっ

たのか思い出そうとしている。

オレは朝のことをももちゃんに話した。

「またご迷惑を…。」

悲しそうな顔で俯くももちゃんの頭に、ぽん

っと手をのせて。

「ももちゃんが無事でよかった。」

オレは安心させるように優しく笑って見せ

た。

それでも落ち込み続けるももちゃんに、温め

ておいた味噌汁を差し出す。

「これ、龍也さんが作ったんですか?」

「そうだよ。」

一口飲むと、落ち込んでいたのが嘘かのよう

に、表情がパッと明るくなった。

「よかった。元気になってくれて。」

ももちゃんはあっという間に味噌汁を飲み干

して一言。

「何かお礼させてください!」

お礼か…。だったら…。

「じゃあ、一つオレの命令聞いてくれる?」

「私にできることであればなんなりと!」

気合の入った意気込みについ笑ってしまいそ

うになる。

「もう無理しないこと。」

「え?」

どういうことかわかってないような顔のもも

ちゃん。

「文化祭の準備で学校行って、夏休みの宿題

もして、ほぼ毎日バイトもしてたでしょ。」

いくら何でも無茶すぎる。こんなこと、オレ

がもうさせないよ。
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