オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
第3章 初恋、始めました。

文化祭

太陽が容赦なく照りつけるよく晴れた日、2

学期が始まった。

「あと2週間で文化祭が始まる。羽目を外し

てケガすることのないように。」

担任の先生の言葉に、みんな返事をするけ

ど。

「ほんとにわかってるのか~?」

担任が思わずそう言ってしまうほど、流れ作

業のような返事だった。

私も含めてみんな、文化祭が楽しみで、先生

の話どころではないみたい。

文化祭までの2週間は授業はなく、準備期間

になるため、教室に綺麗に配置された机は重

ねて高く積み上げられて、いつもよりも広く

感じる。

「ももちゃん、早く家庭科室行こう?」

教室を見つめる私の視界に突然聖菜が入って

くると、そのまま腕を引かれた。

「ケーキ以外にも何かメニューがあるといい

んだけどな。」

私のクラスでは、カフェを開くことになって

いるんだけど、さすがにケーキだけってこと

には…。

「野菜スープとかどうかな?」

クラスの一人が言う。

あ。蓮人さんと初めて会った時の。

蓮人さんと会えなくなってから一か月ほど過

ぎたのに、今でも蓮人さんの声を忘れられな

い。

それどころか昨日のことのように毎日思い出

してしまう。

蓮人さんの声で「好きじゃない」って聞いた

のに。今でも会いたいって思うなんて…。

「ももちゃん…?」

隣から名前を呼ばれて、ふと我に返る。

「なに?」
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