オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
クラスの友達がそう言ってくれたけど。

「まだ、交代の時間じゃないよ?」

私が休憩に入る予定時間にはまだ早くて、不

思議に思っていると。

「ももちゃんのおかげでフルーツタルトが美

味しいって大好評なんだもん!」

後ろにいた聖菜が笑顔をキラキラさせながら

私のもとに駆け寄ってきた。そして、耳元で

囁く。

「龍也さんにちゃんと話すんでしょ?」

聖菜はやっぱりすごい。今日、龍也さんを振

るなんて言ってないのに、わかってるんだ。

「ありがとう。」

小声でお礼を言うと、「がんばれ」の意味な

のか、ウインクをくれた。

そういうところは可愛すぎるんだよなぁ。

休憩をもらった私は、龍也さんと校内を回っ

た。

「結構本格的なんだね。」

隣を歩く龍也さんは、廊下に施された飾りを

見上げながら、呟く。

「私もびっくりでした。」

文化祭って言っても、段ボールやら画用紙や

らで、テーマ通りに教室を飾り付けて見るだ

けだと思っていたけど。

私のクラスはカフェで、隣のクラスは定番の

お化け屋敷。3年生にもなれば、プラネタリ

ウムやミニ遊園地なども作っている。

それからも色んな教室を見学して、笑い合っ

た。

「オレちょっとトイレ行くから待ってて。」

廊下で龍也さんを待っていると、廊下の奥に

見覚えのある姿を見つける。

「蓮人さん…?」

嘘…。見間違い…?
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